小市民シリーズ
小市民シリーズ1 一般小説
「小鳩くんは、わかる? 渡そうと思ってたラブレターを、チャンスだからってつい、思いびとの私物に忍ばせちゃう気持ちって」
「わからないなあ。ぼくには縁のないシチュエーションだ」まあ、それをわかりたいとぼくらが思うようになれば、そのうちわかる日も来るかもしれない。
得意の推理を鼻高々に披露して回っては人に疎まれるという過去をもつ高校生、小鳩。
同じように自らの性格ゆえに起きた苦い過去を持つ女の子、小佐内さんとともに、過去の失敗を活かして高校からは普通の人、小市民を目指して努力するタッグを組む。
だが入学早々から校内で女生徒のバッグが盗まれる事件が発生し‥。
こっちも高校が舞台で扱う推理も人死にが出るようなものはなく、日常におきた軽い謎を解き明かすライトな推理もの。
氷菓を読んでたときは主人公折木のマイナス思考が好きでモノローグも楽しく読めたけれど
小市民シリーズはでしゃばりな主人公の性格ゆえの書き方なのか、描写がいちいち面倒くさい‥
推理パートに入ると顕著。うざい、長い、さっさと結論言え(あかん)
推理小説読むの向いてないのもありそうだけど、主人公が起こり得る事象に勝手に確率をつけて語りだした瞬間はヒィってなった。めっちゃ主観に過ぎる条件付け!
あとココアは最初からマグカップに粉と牛乳注いでレンジでチンする派は、たぶん読んでて、ええ‥?ってなる瞬間がある。
叶わない恋をしよう
「……いっそのこと空が緑色にでもなればいいのに」
そう独り言をつぶやいた。
それだけのことがあれば自分の秘密を明かしても、きっと小さいことと受け止めてくれるだろうに。
生まれ変わっても好きになる対象は女の子のまま。
そんな自分の気持ちが受け入れられることはないだろうと思いながらも、気持ちを隠したまま好きになった子と、友人として高校生活を送る女の子の話
さばさばとした文体で読み心地はかなり好き。
明るく振る舞いながらも随所から諦念のようなものが滲んでいるのが味。
小説を読む人間としてあるまじきだけど、感情移入についていくのがしんどかったりする自分なので、これくらい一定でゆっくり進行してくれるのが味わいやすくて良い。
作者はスランプ気味だそうだけど、まだまだ読みたいと思う文章なので頑張ってほしい
定期的にあらすじを綺麗にしたり汚くしたりするのは謎い
かがみの孤城
読メモ#かがみの孤城
構わないでもらえることが、一番楽で、嬉しい。
だけど、この先もずっとこうなのかを考えると、体がものすごく重たくなる。
あらすじ
不登校の中1の少女こころが自室で突如光った鏡に触れると、鏡の中に吸い込まれる。
その先は見た事もない洋館で、こころと同じく不登校の少年たちが集められていた。
こころたちが鏡の世界とオオカミさまを名乗る少女の謎、心に負った傷と助け合い向き合っていくお話
感想
学校というものは社会性の略図で、上下関係という理不尽な環境のなかに必然と子どもたちを閉じ込める場所でもある。
主人公の少女こころは学校の中のいわゆる上位にいるクラスメイトに、勝手な言い分でイジメを受けたことがきっかけで不登校になる様が、もう心にぐざぐさ来る。
声の大きいヤツが偉くて、正しい扱いをされるというのは、残念ながら学校の中にかかわらずどこまで境界を広げても真実で、罪もない繊細でな感性の持ち主である少年少はこうして今も昔も誰も知らないところで、涙を呑んできたのかもしれないなと、考えさせられた。
俺はもう残念ながら年を取って、子供らしい繊細な感性はなくて、理不尽にあっても、悔しいと思いつつ、まあ生きていればそこらじゅうに散らばってる類のものでしかないと諦めている。
それは老いなのだろうなと、理不尽に諦めきれない子どもたちの姿をみて感じる。
嬉しかったのは、そうした子供のそばにその感性を仕方がないものなんかじゃないと肯定してあげられる大人が物語の中でいてくれたこと。
こういう人が、子どもの成長に必要なのだろうなと。
そうした少年少女たちが世界の謎と、心の傷に向き合って理解し合って助け合っていくストーリーは読んでいて救われる気持ちだった。
ただ残念だが謎とギミックはわりと初期の方に見破れたせいで後半の謎の解明パートは、個人的に盛り上がりが薄かった。
オオカミさまの正体も、不登校の子どもたちの時間の違いも、スクールの先生の正体も、主要なギミックは登場人物の少なさもあって、謎がわかる場面でも、うん知ってたってなるのが辛かった。
もう少し翻弄してくれたら、主人公たちと一緒に感動を分かち合えたのになと。
でも面白いのはたしか。ページをめくる手が止まらなかった。
さすが本屋大賞でした。
現実的なハーレムの作り方
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現実的なハーレムの作り方
作者:中高下零郎
「俺にはハーレム願望がある」なんて馬鹿正直に恋人に告げた男。恋人はそんな男を受け入れ、ハーレム作りのための案を考える。最終的に出た結論は、『ぼっちな女の子を落として自分に依存させて無理矢理縛りつけ、時間をかけて本当にハーレムの一員として愛して貰えるように頑張る』なんていう、現実的なんだかよくわからないものであった。ハーレムという夢のため、男は孤独な少女と、それを取り巻く悪意と戦うのだった。
なろうで溢れ返るハーレムだけれど、じゃあ現実で高校生がハーレム築こうとしたらどうすればいいのかって話。
フィクションならともかく現実でハーレム作るのは困難。まず当たり前の前提をちゃんと認めてシビアな目線でハーレムについて考えてるのがグッド。
人恋しいボッチの女の子をつけ狙うドン引き方法で次々女の子をハーレムに加えていくけど、彼女らがボッチたる所以はやはりあって。
彼女を増やせば増やすほど、現実的な問題が主人公を襲う。
地雷みたいな女の子ばっかりなので、キャッキャウフフなハーレム物を期待してると痛い目に合うから気をつけること。
以下ネタバレちょっと含むけど。
最後は収まる場所に収まった感醸し出してるけど、これで納得してくれる女の子たちが良い人なだけ。結末ありきな強引な持って行き方だったなあと。もう少し彼女らにわがままを言う人間味を与えてあげてほしかった。
面白かっただけに最後の駆け足が残念。
この作者の他の作品は面白いのが多い。
他のはまた今度
魔王城前喫煙所慕情
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魔王城前喫煙所慕情
作者:兎山たかしぴょん
ここは、魔王城前喫煙所。昨今の副流煙問題の煽りを受け、魔王城は全面禁煙。中に入ってしまえば、タバコを吸うことができない。冒険者は勿論、魔王軍の幹部、果ては魔王や勇者さえ、喫煙を嗜む最果てのオアシス。
これは喫煙所を舞台として、そこに三年間住み着く冒険者、ヤマトタケルとその他大勢が紡ぐ、日常の一コマである。
直近で読み終わったもの。
ゆるいギャグ。
30万字程度でさくっと読める。
あらすじ通り、魔王城前にある喫煙所に住み着いたうだつの上がらない冒険者の話。
喫煙所にやってくる人や魔物や神様たちとのとりとめない交流を描いている。
魔族を倒す立場の冒険者と魔王城陣営の魔族たちが、やたらフレンドリーな関係で笑った。
普通にスマホ取り出してラインで今日来る?とか言ってる。みんなで忘年会とかしてる。蝿の王はいいやつ。
物語的にとくに盛り上がる場面とかはないけど、これはこれで良いものだ。
慕情とタイトルについてるから、喫煙所にやってくる人たちの色んな恋愛模様を見られるかと期待していたが全然そんなことはなかった。
まあ、ないわけじゃないけど物語的な要素はない。たいてい既に振られたあとか、その後振られるか。感情移入する隙はない。
ノームの終わりなき道程
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秘境『宝石の丘』へと到達し、巨万の財を手にした成り上がり錬金術士のクレストフ。富と名声を手にしてなお満たされない強欲を抱え、彼は幸福を追い求める。己にとっての幸が、どのようなものであるかも知らぬままに。やがて己の幸福の在り処に気が付いたクレストフは、自らが置き去りにしてきた過去と相対する。それは幸福を求める、終わりなき旅路の始まりだった。
作者 山鳥はむ
異世界ファンタジー
連載中 前作ノームの終わりなき洞窟は完結済み
更新を楽しみにしている作品。
前作のノームの終わりなき洞窟のその後の物語。
利己的で合理主義者の主人公クレストフが、己の幸せとは何かと向き合っていく。
前作を経て自身の殻に閉じこもるようになった主人公が、人と人との出会いの中で変わっていく様が良い。
レリィがアホで可愛い。
誰も言ってるところを見たことがないけど、戦闘描写に関してはなろう作家さんの中で屈指の上手さだと思う。
スピード感をなくさず、分かりやすい描写が頭の中でヌルヌル動く戦闘シーンを想像させてくれる。
ていうか文章自体そもそも上手い。
プロットを忠実に立てて進行してるのがわかる。
1章2章は素晴らしい。
ただ3章のアカデメイア講師編は蛇足だと感じた。
前作の洞窟よりこっちのほうが好き。
基本根幹はシリアスなので、なろうの読者層とはあまり合わないかもしれない。
でも個人的にはすごく好き。
それ相応の努力を積み重ねた人間は報われるべきだと思うし、今風のなんの苦労もなくチートでハーレムする作品が苦手な自分にとってはちょうど良い湯加減。
逆境もっとくれ。
個人評価9
作者さんが満足の行く結末を描いてほしい。
洞窟の方の最後が、なんだか物語の必要にせままれてポンポン人物が消えていくのは、ちょっと今でも納得してないので。ハッピーエンド主義てわけじゃなくて、結末ありきの強引なシナリオが苦手。
期待。